投資家視点を標榜するIFRSは、企業に対して、“今、売ったらいくら、買ったらいくら”というリアリティーのある財産価値を証券市場及び関連するステークホルダーに対して報告する事を求めている。毎期末日にM&A時における企業価値測定(デューデリジェンス)をやっているのと同義だという見方、また、従来、アナリストが行なっていた作業を企業側に求めているとも言える。
経営者のなかには、“冗談じゃない。自分は企業を売買の対象に考えていない。もっと長期的な視点で企業経営を考えている。期末日毎にそんな計算・報告を行う意味がないし余分な手間がかかるだけだ。”という人も出てくる事となる。この辺りが、IFRS、投資家視点、短期志向という意見が出てくる所以となるが、筆者はIFRSの持つ会計概念は極めて長期志向である考える。
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新興国と違いこれだけ複雑化した経済・社会システムを持つ日本や米国が、IFRSを簡単に取り込めるとは思えない。米国は一旦アドプションを表明したもののSEC主導でワークプロジェクトを発足し包括的・体系的にIFRSの導入方法を検討中である。http://bit.ly/hwrndH
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昨年から、IFRSに起因した連結経営管理関連の相談が多い。連結ガバナンスの強化、連結グループの見える化、会計システムのワンインスタンス化、シェアードサービスの推進、等々である。
単なる個社の積上げでなく、連結企業グループの限られた経営資源(人、物、金、情報)の全体最適視点での活用が待ったなしの経営環境になった事を多くの経営者が本格的に認識し始めたのであろう。
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12月21日の日経新聞に横浜ゴムがIFRSの適用に備え決算期を12月に変更する記事が掲載された。
IAS27号(現在改訂中だが)では、まず第4項で“連結財務諸表とは、単一の経済的実体の財務諸表として表示される企業集団の財務諸表をいう。”とある。また、第22項では“親会社の報告期間の末日が子会社と異なる場合には、子会社は実務上不可能場合を除いては、連結のために、親会社の財務諸表と同じ日現在で追加的な財務諸表を作成するとある。第23項で”いかなる場合にも、子会社の報告期間の末日と親会社の報告期間の末日との差異は3ヶ月以内でなければならない。“とあるが、期ズレが生じている場合も、仮決算を求められる状況となり、監査のレベルは結果的に本決算と同レベルになるのではないかと言われている。
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日本におけるIFRSアドプションとは、10月29日に発表されたSECのワークプランプロジェクトの中間報告では、“アドプション”という表現は一切使わず“インコーポレート”という表現に徹している。
“incorporation of IFRS into the US financial reporting system”、IFRSを如何に米国の財務報告システム、即ち、US-GAAPに取り込んでくるかという事である。また、この報告書のなかでは、中国の対応をコンバージェンスアプローチ、EU領域に対応をエンドースメントアプローチ、オーストラリアもエンドースメントの変型パターンと言っている。 続きを読む »
この8月25日の発表内容は、10月1日付で、現在のハーツ議長が退任すると共に、現在5名のFASB委員を7名に増強するという発表である。また、後任には、現FASBのメンバーの一人であるレスリー・セイドマン女史が暫定議長として任命されるとの事である。何故、このタイミングでの退任かは不明である。
実は、2008年に米国がアドプションを発表した後、1973年設立以来、7人であったメンバーを5名に削減をした。IASBにその設定母体を譲るためにFASBメンバーになり手がいなくなった、あるいは縮小の方向を目指した等と言われていた。
この発表に関して米国においては様々な見解があるようだ。いくつかの記事から、その雰囲気を嗅ぎ取ってみる。
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8月16日の日経新聞記事に“「永続性」を支える精緻な理論を”という見出しで三菱ケミカルホールディングスの小林社長の談話が出ていた。
MOS:Management Of Sustainabilityという経営学の理念を説いていると言うことである。
日本企業のトップマネージメントが、このような語ることは稀であり興味が引かれた。このサステナビリティーは、筆者が属していた米国企業において、新規ビジネスユニットを立ち上げる時にかならず求められたものだ。ただ単なる打ち上げ花火的アイディアだけのビジネスケースでなく、長期に渉ってどのように存続して行けるのかを厳しくレビューされた。
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日経ヴェリタスの8月15日~21日号に“「IFRSの本質を見て」会計士の警鐘”という記事があった。そこでは、IFRSが従来の会計基準とその価値観が大きく変化していると述べられている。
これは、拙書、「包括利益経営」の基本トーンでもある。
包括利益が意味する経営とは、企業が保持している全資産について期末の純資産残高を期首と比較して少しでも増加させることである。極論すると、従来の期間損益という概念は不要となる。期末の公正価値で測定された純資産残高を最大化するために、経営はどうあるべきかを考える必要が出てくる。
そこでの経営者責任とは、主体的に管理できない資産、本業にかかわらない資産は保有すべきではないということである。例えば、非金融業の事業会社にとって市場価格で資産価値が測定されるような金融商品は持つべきではないだろう。日本固有の持ち合い株式も立派な金融資産であり、戦略的に保持するのであればその評価損益は甘んじて受けなければならない。また、経営者として将来のキャッシュフローを生む自信のない事業からは早期に撤退すべきとも言える。
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日経新聞夕刊の“目からうろこの投資塾”の欄に、「企業統治開示の新潮流」というタイトルでの連載があった。
ここでは、今年の株主総会から、主として情報開示に関するコーポレートガバナンスの新しいルールが取り入られたことに関する解説がなされている。
コーポレートガバナンス、情報開示、株主視点、という議論は、日本企業の経営者は概して好まないというか、積極的に取り組む企業は少数派であるように感じる。「衣食足りて礼節を知る」という位置付けであり、業績に余裕があれば、そのような事も手がけてみるかという雰囲気がなきにしもあらずと見受けられる。これは、グローバル化が加速されている証券(資本)市場では通用しない価値観と言わざるを得ない。
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7月29日にパナソニックによる三洋電機とパナソニック電工の完全子会社の発表があった。
これまでの、パナソニックから動きから見ると至極当然の流れであろう。
現会長の中村氏が経営を引き継いだ直後から、松下電器の象徴でもあった事業部制を発展的に廃止し、グループ企業全体を複数のドメイン(実質の事業である)に再定義し、子会社上場廃止、一部松下本体への取り込みを積極的に展開した。
まだまだ、連結子会社のガバンナンスを強く認めている日本企業が多く存在する中、欧米で通常に見られる連結優先のガバナンスモデルを指向してきた最後の仕上げというところであろう。
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